日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2023年7月26日会議の進行で気をつけるべきこととは?


★オンライン会議での沈黙は恐怖


先日、私はあるオンライン会議に参加しました。オンライン会議ではリアルの会議よりも参加者は発言しにくいものです。案の定、その会議も発言がほとんどありません。そのうちに会議の司会者は、何とか盛り上げようとして自分の意見を言い始めました。それも長い時間一方的に話したのです。やがて、その議題を提示した人が同じように意見を言いはじめ、ほぼ司会者と議題の提示者の二人のやり取りで会議が終わってしまいました。
リアルの会議でも、一人が一方的に長い時間発言すると他の参加者は退屈してしまいます。ましてやオンライン会議では、リアル以上に参加者の意識が離れやすいので、長い時間話すのは絶対に避けるべきです。特に司会者がそれをやってしまうとますます他の人が発言できなくなってしまいます。
では、どうすれば会議を活性化できるのでしょうか。以下に、2つポイントを述べます。

 

 



★発言をうなずきながら真剣に聞く


1つ目は、発言をうなずきながら真剣に聞くことです。
会議で発言が出なければ司会者は「島田さん、どう思われますか?」と発言を促すでしょう。促された人は「そうですね~」などと言いながら何とか発言してくれることがあります。その時、司会者はその発言を、その人の顔を見てうなずきながら笑顔で聞いて欲しいのです。司会者は発言してくれている人が気持ちよく話せるように心がけなければなりません。もし司会者が発言している途中に横や下を向いていたり、つまらなそうな顔をしながら聞いているなら、その人は(自分の発言はつまらなかったのかな)と思ってしまい、以後、発言しなくなるでしょう。また、そうした様子を見ていた他の参加者も同様に、(あんな態度で聞かれて不快になるなら発言しない方がましだな)と思ってますます発言が出なくなるでしょう。
司会者は、せっかく発言してくれた人が話しやすいように気を配る必要があるのです。


★会議は質問で進める


2つ目は、会議を質問で進めることです。基本的に、司会者は自分の意見は言わないようにすべきです。
これは、リアルでもオンラインでも同様です。発言が少ない会議で、その沈黙を埋めようとして、提案の趣旨や自分の意見を長々と話す司会者を時々見かけます。しかし、その発言は沈黙を埋めることを目的にしていて、会議を有効なものにするということは考えていません。会議は参加者が発言することで成り立ちます。であれば、参加者の発言を促すような質問をすることが司会者の取るべき行動ということになります。


★具体的な質問を心がける


では、司会者はどういう質問をすればいいのでしょうか?
例えば、会議のテーマが「会社創立50周年記念に何をすべきか?」だとします。この会議で、司会者がいきなり「何をすべきだと思いますか?」と質問したら、参加者は「う~ん」という顔をしてなかなか発言しないでしょう。それは、質問が抽象的すぎるからです。
どんな話をする場合でも、人は頭の中で具体的にイメージできて、はじめて話すことができます。上の質問は抽象度が高すぎて参加者の頭の中に具体的なイメージが浮かびません。司会者は、何について話をすればいいか、具体的にイメージできるように質問をするべきなのです。

「50周年記念はお客様向け、社員向けのどちらのイベントとして考えるべきでしょうか?」
「お客様向けの場合、どういうことをお客様にアピールすればよいでしょうか?」
「社員向けの場合、この記念行事などを通じて社員にどういうことを感じて欲しいでしょうか?」


これくらいの具体的な質問でスタートして、出てきた意見をもとにさらに論点を具体的にしていくと有意義な会議にすることができます。


「今の発言は既存のお客様を意識したものですが、対象に新規のお客様は入れなくてよいでしょうか?」
「50年続いていることを世間に幅広くアピールするということになりました。では、そのためには何をすればいいですか?」

もちろん司会者は会議の終わりには出てきた意見をまとめていく必要があります。その場合でも「では、今回の記念行事は既存のお客様に当社をより信頼いただくために行う、ということで宜しいですね?」と質問スタイルで確認するとよいでしょう。質問は人の発想を広げたり意見を引き出す上で大きな威力を発揮します。ぜひ会議は質問で進めてください。




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